AZZURRO
4
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AZZURRO『4』RELEASE INFORMATION

AZZURRO 4th ALBUM PHOTO AZZURRO 4th ALBUM PHOTO AZZURRO 4th ALBUM PHOTO

Photo:Hironori Tomino

Artist : AZZURRO
Title : 4
Release Date : 2013/09/22
White-Stone Recordings : WSRCD-002

Dub In Tomigaya
Gimme Some Dirty
Anya-Kouro Part 3
I Told You So
Corruption
Don't Wanna Know
Longest Red
The Heat Part 1&2
St. Petersburg
Quiet Please
White Out
Unknown Pleasure

Produced, Mixed and Mastered by AZZURRO
@ Limone Lab.

※フィジカル版はDVD-Rです。オーディオCDではありません
※購入についてはこちらを参照ください
※アーティストの意向により、曲を指定するPQは打たれておりません。ご了承いただきますようお願いいたします。

AZZURRO『4』フィジカル版の購入について

AZZURRO /『4』(Physical Version)
¥2,000(送料込)

■DVD-Rに24ビット/48kHzのWAVデータを封入
■フィジカル版のみのボーナス・トラック/DJミックス収録
※フィジカル版はオーディオCDではありません
※アーティストの意向により、曲を指定するPQは打たれておりません

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【AZZURRO 4】フィジカル版の購入について

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AZZURRO 『4』ALBUM PHYSICAL

Photo:Hironori Tomino

AZZURRO『4』を巡る自問自答

◎問:白石裕一朗 ●答:AZZURRO Photo:AZZURRO

INTERVIEW PHOTO by AZZURRO

このところはShigeru Tanabuとのユニット=AZZXSSSで『Deepsketch』(2010年)、『Universal Century Dub』(2012年)とリリースが続きました。今作『4』は、ソロ・アルバムとしては2009年の『The B-Side』から4年ぶりとなります。
●AZZXSSSの制作を通してベース・ミュージックにどっぷりハマってしまって、しばらく140BPMのビートしか作れなくなってしまったんですよ。実は2011年の時点でダブステップ的なアルバムを2枚は出せるくらいの素材はあったのですが、それをAZZURROの名前で出すのも違う気がして、しばらく寝かせていたんです……AZZURRO名義で出すものに関しては、基本的に10年、20年後も聴けるものにしたいという気持ちがあります。ただその時点では、ベース・ミュージックを自分なりに消化できていない気がして……そんなある日、サンレコのバック・ナンバーを読み返していたら、小西康陽さんがPizzicato One名義で出した『11のとても悲しい歌』の制作に際して「ダブの“何か足りない”感じを意識した」と発言していて、ピンときたんです。それまでは倍速/ハーフのリズム構造に意識が行き過ぎて、グルーブの異なるハイハットやパーカッションを重ねる方向でプロダクションを進めていたのですが、そこからどんどん音を削ぎ落としていったら、求める音像に近いものができた。そこでペースをつかんでからは、ほかのBPMのものもスムーズに作れるようになりました。ドラムンベースにも違和感が無くなりましたし、ヒップホップ的なパターンのビートも、72BPMで作ればダブステップとつながる、とか。

『4』の音像的なイメージは?
●あえて分かりやすく言葉にするなら、“ベース・ミュージックのグルーブをヒップホップの音質で表現する”という感じでしょうか。マインドとしては、恐らくLow End Theoryの雑食性と近いところにあると思うのですが、それっぽい音にだけはならないよう気を遣いました。自分の中ではもう少しUK的な暗さが原風景としてあるので、それが染み出すまで時間がかかりましたね。

収録曲のBPMは多彩ですが、例えばダブステップのテンポに入る「Anya-Kouro Part 3」などは、以前からあった曲なのですか?
●はい。原型はAZZXSSS「Anya-Kouro Part 2」と同時期にできていました。元はハイハットの刻みがもっと細かくて、シンセもシンセらしく鳴っていたのですが、グルーブをキック中心に作り替え、シンセに深いリバーブをかけてより抽象的にしたところ、音像の“近さ”が後退してしっくりきたんです。「The Heat Part 1&2」も元は典型的なダブステップだったのですが、音を間引きつつレンジを狭める方向でミックスし、2曲をつなげてストレンジな感じを出してみました。

どんな環境で制作を行っているのですか?
●ビート・メイクは相変わらずABLETON Live 9、音源はサンプル中心なのも変わらないですね。サンプルは直接Liveのオーディオ・トラックに張り付けるか、付属のソフト・サンプラーSamplerに読み込んでプログラミングすることが多かったです。ほかにMax for LiveデバイスGranulatorで音色を加工したり……制作の終盤になってNATIVE INSTRUMENTS Maschine MK2を導入したのですが、ソフトの音色センスとコントローラーの仕上がりが良いので、今後は登場回数が多くなりそうです。ビートのボキャブラリーが1つ増えたという感じでしょうか。

よく使ったソフト・シンセは?
●Live付属のOperatorがシンプルで好きです。あとはNATIVE INSTRUMENTS Razor、Massive、FM8などですが、IZOTOPE Trash 2やテープ・エコー・プラグインなどで原型が分からないくらい加工することが多かったですね。

サンプルはどのようなところから録ってきているのですか?
●ドラムはレコードが中心ですが、今回はCreative Commonsライセンスで音ネタが上がっているFreesoundというWebサイト (http://www.freesound.org) からノイズなどのサンプルをダウンロードして使ってみました。サンプルを使った制作が面白いのは、さまざまな位相/空気感のパーツを1曲内でコラージュできるところ。Freesoundには世界中からサンプルがアップロードされていて、例えば“noise”で検索をかけると、コペンハーゲンの雑踏のノイズやテキサスの人が作ったホワイト・ノイズが同列でリスト表示されるのが面白い。そうした空気感を持つサンプルを1つ加えるだけで、ビートの“景色”がガラッと変わるんです。それこそ無限の可能性があるので、ベストの組み合わせを探るのは時間がかかる苦しい作業ですが、ひずみ系のエフェクトで加工したり、各音が“あるべきところ”に収まったときの快感は、他には代えがたいものがある。

やはり、ドラムの“太さ”にはこだわりがありますか?
●そうでないと、自分が作っている意味が無いですから……今回『4』フィジカル版のボーナスとして、サンレコの企画で収録したジェームス・ギャドソンのドラム素材を使った「Ayo JG」という曲を付けたのですが、エンジニアの内田直之さんが録ったドラムの音質がすごかった。Liveでタイム・ストレッチしたりTrash 2でひずみを加えても、音色の“しん”が全く損なわれない。恐らく倍音構造が奇麗だからだと思うのですが、どれほど加工しても音のパンチが無くならないんです。きちんとした楽器や機材で録った一流の演奏は、やはり良いものだなと、あらためて感じました。

マスタリングも自身で手掛けていますが、どのような手順で行っているのですか?
●Liveではミキシングまで24ビット/48kHzで行っているのですが、オーディオ・インターフェースとして使っているAPOGEE Rosetta 200のオプションを使って同じLiveセッション内の新規トラックに2ミックスを録音し、それを64ビット・モードで立ち上げたPRESONUS Studio One 2に読み込んでマスタリングしています。Liveの段階では意図的にいびつでローファイな音像に仕上げてあるのですが、それをStudio One 2に読み込むと、音のディテールが際立って空気感が出てくる。マスタリングではプラグインを多重がけしていて、Studio One 2付属のTricompやBRAINWORX Bx_Hybrid 2などを使っています。リミッターはIZOTOPE Ozone 5が、音がなまらないので登場機会が多かったですね。それで逆に細く感じたときはWAVES L3-LL Multibandにしたり、曲によってマチマチです。基本的にLiveでは緩めに作っておいて、マスタリング段階で締めるという考え方でした。

INTERVIEW PHOTO by AZZURRO

今回はMP3もフィジカル版も曲がセパレートされておらず、一続きのファイルになっていますが、これはなぜですか?
●僕はアルバムという単位で音楽を享受してきましたし、その形態に愛着があります。また、アルバムにある曲間の無音部分が、自分にとってはとても雄弁に感じられるんです。プリンスの『Around The World In A Day』に入っている「Rasberry Valley」の前の曲間が異常に長いのですが、そのタメがあるせいで「Rasberry〜」が始まったときのカタルシスが増していると思うんですね。それが、MP3の切り売りになった途端、時間芸術としてのアルバムの良さが損なわれてしまう気がして……今回はゲスト・ラッパー無しのフル・インスト作で、ただでさえ愛想のない作品なので、そうであれば、一度極端な例を試してみよう、行くところまで行ってしまおうと。

フィジカル版をオーディオCDにしなかったのも、そうした理由から?
●はい。これはマスタリングを通して常々感じているのですが、DAWで24ビット/48kHz作業して“よし!”と思ったオーディオ・ファイルをCD-Rに焼いた時点で一膜がかかったような音になりますし、それをプレスする過程でさらに音が変化する。そうした葛藤を感じていたので、今回は自分が作業した状態のまま提供してみようと考えました。24ビット/48kHzのファイル自体はOTOTOYでも購入が可能なのですが (http://ototoy.jp/_/default/p/37197) 、面白かったのは「収録曲をDJで使いたいのですが、セパレートのファイルは無いんですか?」と尋ねられる機会が多かったこと。僕自身、『4』を作っている最中はアルバム全体の流れに集中していて、DJツールとしては全く意識していなかったんですけどね……なので、直販やDisc Shop Zeroでフィジカル版を購入いただいた方も含め (http://dsz-justin.tumblr.com/post/63155024735) 、セパレートのオーディオCD-Rを希望される方は、メールをいただければ対応します。

フィジカル版はハンド・メイドの三角ジャケットになっていますが、このような仕様にした理由は?フィジカル版の購入はこちら
●単純に、一度装丁まで自分でやってみたかったからです。プロのデザイナーを付けてバリッとやるのもいいのですが、今回は作品のたたずまいとしてあまりデザイン性は必要無いというか、そっけないくらいミニマルな方が良いと感じていたので、それならば自分でやってしまおうと。サンレコの付録でやくしまるえつこさんのCD-Rを制作したときに三角の紙ジャケを付けて、その造型がとても良い感じだったので、編集長の國崎さんに許可をもらってサンプリングさせてもらいました。印刷は大阪のレトロ印刷で、質感のある厚紙を選びインクがちょっと盛り上がるように刷ってもらいました。ズレないように紙を折るとか、コーナーを奇麗に出すとか、パッケージの製作は作業が職人っぽくて楽しいし、やはり1枚1枚に愛着がわきますね。装丁に使ったマスキング・テープはベルリンのBauhaus-Archivで購入したのですが、日本に帰ってきたら結構どこでも売っていてガッカリしましたけど(笑)。

その一方で、全曲をSoundCloud上でCreative Commonsライセンスを付けて公開していますね (https://soundcloud.com/azzurro/azzurro-new-album-4-full-mp3)。
●音源が継承され変化しながら広がっていくというCreative Commonsの考え方には、作り手として深く共鳴するところがあったのですが、これまではレーベルとの関係などもあり実行に移せなかったんです。今回は完全に自分でコントロールできる作品なので、それならMP3の方は無料で公開してしまおうと。また、最近インターネット・ラジオのdublab.jp (http://dublab.jp) で『Ultimate Breaks & Beats』を1枚ずつ紹介していくプログラムを始めたのですが、番組の準備を進める中で、例えば「Amen Brother」は800曲以上でサンプリングされていることが分かったんです。そうした古典ブレイクがあったからこそ、それだけの数のヒップホップ曲が世に送り出されたわけで、もし自分の作品からインスピレーションを受けるクリエイターがいたならば、そうした人たちには自分の作品を遠慮無く使ってもらいたいと考えるようになりました。

INTERVIEW PHOTO by AZZURRO

ビートにこだわって音楽制作を続けてきたモチベーションはどこから?
●アルバムを作るたびに「これしかない!」という気持ちでアウトプットしていますが、“究極のビート”を目指すことに終わりは無いでしょうね。別に“泣けるメロディ”を作って100万枚売りたいわけでもないですし(笑)、昨日よりも良いビートを作ることしか眼中にないです。さっきも言いましたが、サンプルの組み合わせは相当に奥が深くて、どれだけ作っても飽きない。ビートを作っているときは無心になれますし、自分が予想もしていなかったようなビートができたときは、ほかのものからは決して得ることのできない満足感が得られる。だから究極を言えば、わざわざ作品として発表しなくても良いのかもしれません。それでもこのようにアルバムとしてまとめているのは、そうしないとガス抜きができないというか、自分の中で句読点が打てないから……だから、ビートを作っている最中はいいのですが、完成した自分のアルバムを他人に薦めたり、売り込むことができないんですよ。あまりにもパーソナルなものなので……ただ20年ほど音楽を作り続けてきて、ありがたいことに自分の作品を待っていてくれたり、音質を気に入ってミキシングやマスタリングを依頼してくれる人たちがいるわけです。そうした人たちには責任を感じますし、期待に応えたいと思います。

なぜビートを作り続けるのですか?
●“作らずにはいられないから作っている”としか言えないですね。僕は編集者として食いぶちを稼ぎ、家族を養ってきましたが、それでも日常生活の少なからぬ時間を音楽制作に捧げているわけで、それは“自分の魂のため”としか言いようがない……好きな雑誌の編集をやりながら嘘偽りの無い音楽を作り、友人やdublab.jp、Back To Chillなどの尊敬できる人たちとも関わりを持てています。僕は以前から現在のような生活を送りたいと願ってきましたし、それを実践できて幸せです。

今作を作り終えた感想は?
●『4』はパッケージングも含めて、独力でやってみようという実験。作り上げたことで、“1人でもこうして出していけばいいんだ”とスッキリしました。あと、初めてSoundCloudなどを本格的に使ったことで、海外からのフィードバックが増えたのも収穫でした。一方で、チームで動くからこそ1人では作り得ないものができることももちろん知っていますし、今後AZZXSSSではそうした動きを進めていくことになると思います。制作に関して、2本の軸ができたという感じですね。

もうAZZXSSSの次作の制作に入っている?
●はい。コラボレーションは、お互いのクリエーションに対しての熱量が無いと絶対にうまくいかない。“やろうよ!”と言ってから1週間後にファイルが届くようでは、自分にとっては遅過ぎるんです。もちろんディテールの詰めに時間はかけますが、ビートを組む段階では、突き動かされるようなドライブ感が絶対的に必要。その点Tanabu君は、“打てば響く”、自分にとって貴重なパートナーです。AZZXSSSの次作については、音像的なアイディアも既に話し合ってコンセンサスが取れているので、どんな作品が出来上がるか、自分でも楽しみですね。『4』で得た経験を良い形で生かせると思います。

AZZURRO Biography

Mellow YellowのDJとして1990年代初めに活動をスター ト。オリジナル・トラックの制作に加え、Peanut Butter WolfやNobodyなど海外アーティストのリミックスを数多く手掛ける。2001年初頭にAZZURRO名義で本格的なソロ活動を開始し、これまで3枚のオリジナル・アルバムをリリース。ほかにBLUE NOTEのトリビュート・アルバムへの曲提供、A Tribe Called Quest、DULO (DJ Kiyo)のリミックスな ど多彩な活動を展開する。ハシム・BとのILL SUONO名義で2枚のアルバムを残すほか、Shigeru TanabuとのユニットAZZXSSSでも『Deepsketch』『Universal Century Dub』を発表し、ダブステップ/ミニマルへと音楽性を拡張。Sonar Sound Tokyo 2011にも出演を果たした。

音響面 への造詣も深く、マスタリング・エンジニアとしてSavas & Savalas、Breakage、DJ Sharkなど100作品以上を手掛けている。

2013年よりロサンゼルスのネット・ラジオ局dublabの日本ブランチdublab.jpのLabrat DJを務めるほか、Sound & Recording Magazine編集部員として、ジェイムス・ブレイク、ダディ・ケヴ、メーカーではABLETON、NATIVE INSTRUMENTSなどの取材/記事執筆やセミナーなども行う。

Discography→http://flavors.me/ilmareazzurro


After getting his start as the DJ for the Japanese rap group Mello Yellow in the early 90s, he started producing his own original tracks, as well as remixing international artists such as Peanut Butter Wolf and DJ Nobody. He began his solo career in 2001 under the name AZZURRO, and has released three albums up till now. He has also participated in a Blue Note tribute album, and remixed everyone from A Tribe Called Quest to DULO(DJ Kiyo). He has released 2 albums under the name ILL SUONO with Hashim B., and released the dubstep/minimal projects "Deepsketch", "Universal Century Dub" under the guise of AZZXSSS with Shigeru Tanabu. He has also performed at Sonar Sound Tokyo 2011.

Being an experienced mastering engineer, he has mastered over 100 records by artists such as Savas & Savalas, Breakage, and DJ Shark. He became a resident "Labrat" DJ of dublab.jp, which is the Japanese branch of the Los Angeles based internet radio collective dublab.com.

As one of the editorial staff at Sound & Recording Magazine, he has interviewed a wide range of artists including James Blake and Daddy Kev, and has written articles and led seminars focusing on Ableton and Native Instruments software.

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